時事ネタ

就活ルール廃止で何が・いつから・どう変わる?問題点と準備すべきことは?

就活ルールとは何?

就活ルールとは、日本の経団連が定める「企業向けに定めている新卒者の採用スケジュールの決まり事」のことです。

現在は、大学3年生の3月から企業説明会の解禁→大学4年生の6月から採用面接等の選考解禁と定めており、経団連は会員企業に対して「きちんとルールを守るように」定めていました。

しかし、実情はルールを違反しても”罰則”などはなく、ルールを違反をする企業が絶えない状況でした。

違反の例は以下の通りです。

 

①フライングパターン

大学3年の冬にインターンなどで、優れた人材に目をつけておき、その後大学4年の春(4月から5月頃)に内々定を出して、早めに人材を囲い込む「ちょっとフライング」パターン。

 

②ルール完全無視パターン

経団連に加盟していない外資系企業やベンチャー企業に多く、大学3年の夏にインターンを開催し、優れた人材に目をつけておき、大学3年の冬に内々定を出して、真っ先に囲い込む「やり過ぎな」パターン。

以上のような採用のフライング・ルール無視が後を絶ちませんでした。これだと真面目にやっている企業が損をする状況となり、公平な採用の競争原理が働ないと経団連が判断した為、就活ルール廃止が定められたと考えられます。

 

 

就活ルール廃止はいつから開始?

就活ルールの廃止は、2021年卒の就活生(2018年度時点で大学2年生)からスタートします。

2019年卒・2020年卒の就活生は現行の採用ルールが適用された就活スケジュールの予定です。

(大学生は浪人や留年をした場合、年齢でひとくくりに出来ませんので、卒業時期のタイミングで計算して下さい。)

就活ルールの廃止は、2021年春以降に卒業予定の就活生が対象となります。

 

 

就活ルール廃止したら、どう変わるの?

これまではスケジュールに追われた就活だった

これまでの就職活動は、説明会の時期や採用活動の時期がある程度定められていました。「大学の講義があるけど、面接に行かないといけない」とか「春休みに企業説明会ばかりで、ゆっくり休暇を楽しめなかった」などという問題がありました。

私の実体験ですが、大学時代に企業説明会や就職活動をしていたころ、大学の講義に参加できず出席日数がギリギリで単位を落としそうになりました。また、春休みのほとんどは県内外の企業説明会に出向きましたが、県外だと移動費がかさむ為、莫大なお金が必要でした。アルバイトで就活資金を稼ぐことも考えましたが、時間とそれに見合う効果を天秤にかけたところ、明らかに効率的ではありませんでした。就職活動に専念する為に、両親に頼み込んで資金援助してもらった恩があります。

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これからは自由な就活スケジュールが組める可能性も

就活ルールが廃止されるとこのような問題が一気に解消される可能性があります。就活ルール廃止となれば企業側は通年で採用活動を行うことになりますので、これまでのように、大学4年生の6月以降という決められた時期ではなくなります。

例えば、大学1年生から大学3年生の間の夏休みなどを利用して、長期インターンを経験し、企業側はそこで優秀な人材を見定めて内々定を出す→大学4年生の春にはすぐに内定を出して、残り1年の大学生活を思う存分楽しめたり。または、大学4年生の夏休み中に一気に就職活動を行ったり。さらには、大学4年生の冬に一気に就活のスパートをかけたり。これまでよりも就活スケジュールを柔軟に組むことが出来る可能性が広がります。

 

就活ルール廃止が”学生に有利にはたらくか”は企業次第

注意しておきたい点が「企業側に柔軟な採用体力があるか」という点です。仮に、採用期間を長く設定することになれば、それだけ企業側は多くの費用がかかります。企業側としては「低コストで優秀な人材を集めたい」というのが本望です。

将来的に就活ルールが廃止された後、おそらく企業側は早めに人材確保に乗り出す可能性が高いと考えられます。企業は早めに人材を確保しておけば、その後に来期の戦略を立てる時間を確保したり、採用者が不足していれば2期目・3期目の採用活動を行う時間が確保できますからね。

今後は、企業側が就活生の採用時期をコントロールする時代に変わっていくと考えられます。

 

就活ルール廃止の問題点は?

就職活動は情報戦へ変わる

就活ルール廃止が一斉にアナウンスされ、開始された以降は様々な問題点が浮かぶことになりそうです。例えば「企業側の採用の情報格差が広がる」という懸念があります。

例えば、商社を狙う大学生にとって、これまでは大学3年時の3月前後に開始される企業説明会に参加して採用試験や面接を経て大学4年時の6月前後に内定をもらう。という流れが通常でした。

今後就活ルールが廃止されると、

  • 商社A社は大学4年時のに採用活動を開始
  • 商社B社は大学4年時のに採用活動を開始

という風に企業によって採用スケジュールにズレが発生します。

そうすると、企業の採用時期を事前に知っておかないと、気づいた時には「希望している企業の採用活動が終了していた」という事態が発生しかねません。

また、その希望している企業がいつから・どのようなスケジュールで採用活動を開始するのかも、常時チェックしておかなければなりません。

これまでよりも一層、就活生は「採用スケジュール」や「採用基準」の情報を仕入れておき、自身の就活スケジュールを早めに組み立てて準備しておかなければ就活戦争から取り残されてしまいます。せっかく志望している企業の採用時期を逃してはいけませんからね。

 

就職活動は長期戦へ変わる

これまで就活ルールが存在している時期は大学3年時の春~大学4年時の夏にかけて行われており、「就活は短期集中型」と言われておりました。

もちろん、大学3年次の夏にインターンシップなどを行い、長期化している場合もありますが、その時期はほとんどの企業が足並みを揃えており、期間は一定期間で定まっていました。

就活ルール廃止以降は状況が一変するでしょう。各企業が、それぞれのタイミングで採用活動を開始する為、就活生は就職活動が長期戦と化します。1社あたり、就職活動期間が3カ月要していたとした場合、3社を受けて、その企業がそれぞれ違う時期に採用活動を行っていたとしたら、それだけで3社×3カ月=9カ月も就職活動の時間を要する可能性があります。

 

就職活動長期化に伴い、学業と精神面の負担が増える

就職活動が長期化する事で、不安視されているのが「学業と精神面の負担が増えてしまう」という点です。前述したように3社採用試験を受けて、計9カ月も要していた場合、その間の学業は長期に渡り疎かになります。

また、内定が出るまでの期間が大幅に開いてしまうことも想定されますので、合否が出るまでに、精神的にも不安な期間が長引いてしまうかもしれません。就活ルールが廃止される2021年春卒業見込みの就活生は、このような事態に備えておく必要がありそうです。

 

インターンシップで内定判断する企業が増える

就活生が、企業に就職する前に実経験を積むことができる制度をインターンシップ(制度)と呼びます。就活ルールが廃止された後は、インターンシップの価値が今以上に高まると考えられます。

企業側は、限られた時間と費用の中で優秀な人材を確保したいという思考はいつの時代も変わりません。なぜなら、多くの企業は人材確保はゴールではなくプロセスであり、営利を追求することが大きなゴールと位置づけてありますからね。

就活ルールが廃止されると、各企業は通年採用方式をとるようになり、企業によって採用活動を実施する期間がバラバラになります。そうすると、優秀な人材ほど先に内定を取って囲い込みを受けるパターンとなると考えられます。

いわゆる「超売り手市場」になりかねないわけです。

となれば、企業サイドは採用活動を開始する前のインターン期間中に優秀な人材を見極めて、早めに採用アプローチをかけるという手を打つことでしょう。

現在も、インターン時に優秀な人材を見極めている企業は少なくありませんが、今後はより一層、就活生にとってインターンシップの期間は、企業へアピールする絶好の機会となりそうです。

問題なのは、それが激化していった場合、就職活動そのもののバランスが崩されて、インターン一括採用などの現象が発生し、『青田刈り』や『青田買い』のような、一昔前に問題となった事案が発生しかねない点です。

 

 

 

就活ルール廃止の前に何を準備すべきか?

大学2年生までに自己分析と志望を決めておくべき

就活ルール廃止の問題点で記した通り、今後は就活スケジュールの早期化の可能性が高まります。それだと、これまで大学3年時から大学4年時の間に就活準備を進めていても、就職活動の波に乗り遅れてしまいます。

とても早いように感じるかもしれませんが「大学2年終了時まで」には、自己分析と将来展望を明確にしておくことをおススメ致します。

例えば自己分析は、以下の通りです。

  1. 自身の中学時代・高校時代・大学時代に打ち込んだことは何か?
  2. 打ち込んだ事は、なぜ頑張れたのか?
  3. 打ち込んだことの課題や問題点は何だったのか?
  4. その課題や問題点にどのような対策をうったのか?
  5. 対策をうった後、どのような結果がうまれたのか?
  6. その経験を通して学んだことは何なのか?
  7. その経験を通して知りえた自身の長所や短所は何なのか?
  8. 様々な経験の中で、自身のモチベーションの源は何なのか?
  9. それが、就職した企業でどのように活かせるのか?

あくまで一例ですが、以上のような自己分析を大学2年生の頃までに仕上げておくことをおススメします。いざ就職活動が本格始動する大学3年時から自己分析を考えていたのでは、同世代のライバル達に後れを取ってしまいますからね。

優秀なライバルは、このような自己分析を早い時期で完成させ、インターンシップや企業訪問という次のステップに進んでいますので、必ず早期に完成させて、希望を実現させることをおススメします。

併せて、『将来自分はどのような職種で、何を人生のうちに成し遂げたいのか』という自身のビジョンを描いておくことをおススメします。

「でも、将来自分が何をやりたいのかなんてわからない。」というご意見は多くあると存じます。しかし、社会で働くサラリーマンでも「自分が何をやりたいか。」がパッとしない人が多くいるのが現実です。変な話ですが、将来の道が自由に広がっているのは、学生時代の時しかないのです。

考えるのを後回しにしていたら、いつの間にか、なんとなく社会人になってしまいます。社会人になってからも迷いがあると、一気に同期より出遅れてしまいます。同期に出遅れて、それでも迷いながら仕事を続けていると、出世の道も閉ざされていきます。

気づけば仕事を辞める事ができない年齢・家庭環境になってしまい、惰性で働き続けるしか、生きていく道がなくなります。

学生のあなたに、そんな人生を歩んでほしくはありません。

自分と真剣に向き合う時間をしっかり確保して、将来の道や将来のビジョンを明確に描いておけば、後はもう前に進むだけなのです。

 

 

大学2年生までに単位の早期取得で就活時間を確保すべし

就職活動の「時間」を確保するのは最重要項目です。単位の取得を疎かにしていると、就職活動の時間を柔軟に確保することが出来なくなってしまいます。

私の実体験ですが、学生時代、アルバイトで自分自身の時間を確保できていませんでした。

目安として、大学2年生の頃までに取得すべき単位はきちんと確保しておくべきです。

今後、就活ルールが廃止されると、就活スケジュールは長期化・情報戦へと変わっていきますので、今以上に就職活動に割く時間の確保がとても重要です。

 

 

さいごに…

成功の反対は「何もしないこと」です。

これから変わりゆく社会の流れをつかみ、事前に準備しておくことがこれからの就職活動で「勝つ」か「負けるか」大きく左右します。

この記事をご覧いただいた方の何かのきっかけ、参考になり、明日からの行動のきっかけになれば私の本望です。

あなたの明るい未来を応援しています!