やる気が無い社員が、会社の利益を高めることができるのか?
答えは「NO」だと、私は考えます。
やる気がない社員は会社の利益を高める前に、自身の利益を高めていないから、やる気がない状態になっています。
「そもそもやる気がないのは部下自身のせいだろ?」と考えてしまう上司の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それだけではありません!部下のモチベーションを高める事は上司の責任です。
成果にコミットする要素として「仕事のモチベーション」は必要不可欠です。
部下のモチベーションを高める為にはどうすれば良いのか。本記事で明らかにしていきます。
Contents
オーナーシップを育てる
部下のひとりひとりが、全員経営者のように課題意識を持ち、問題を自らあぶり出して改善する力があれば、会社という組織はどれだけ活性化し、業績をアップさせる事が出来るでしょうか。
大切なのが『オーナーシップの意識を持つ社員を、上司が育てる事』です。
オーナーシップとは、社員ひとりひとりが会社の経営者のような視点を持ち、業務を遂行することです。会社がかかえる問題を社員ひとりひとりが『当事者』となり、率先垂範して解決していく営みや文化の事を言います。
例えば、自分の月収が毎月20万円貰えるとします。それが、来月の月収が15万円に下がるとします。5万円収入が減少すれば、もちろんその人の生活は苦しくなり、どうやりくりするか自然と工夫しますよね。
「光熱費を節約しよう」とか「ケータイ代が高いから安いプランに変えよう」とか、逆に収入をアップさせる為に「副業やアルバイトを始めようかな」とか「家にある不要なものをフリマで売ってお金を得ようかな」とか。それでもうまくいかなければ、「なけなしの貯金を崩すしかなか…」とか。
自分の生活に置き換えて考えれば、誰しも必死になって生活水準を維持する為に、一生懸命改善策をたてて行動に移すものです。
しかし、それが働いている『会社』の場合だとどうでしょうか。ある企業の月の粗利収入が毎月2000万円ほどあるとします。それが、来月の収入が1500万円に下がる見込みとします。500万円も収入が減少すれば、人々の生活と同じく企業のなりわいも苦しくなります。
ここからがポイントです。
『会社の部下は、どれだけこの状況を”自分事”として本気で捉えているでしょうか。』
会社の営業成績がうまくいかない場合、多くの企業が上司から部下に対して「危機感を植え付ける指導」に走っているケースがよくあります。むしろ、私もサラリーマンのひとりですので、そのような指導をよく受ける事があります。
ですが、「危機感」は既に部下は理解しているのです。
大切なのは上司から部下へ、当事者意識を持たせて改善策を本気で考えさせる工夫です。
「あなたがこの会社のオーナー(経営トップ)だとしたら、この状況をどう打開するか?」「ちなみに、私の経験では〇〇の取り組みで〇〇な結果を生み出したことがある。私の経験則だと△△という方法もあるのだけれど、あなたがオーナーだとしたらもっと、良い方法を思いつかないだろうか?」
危機的な状況下こそ、部下のオーナーシップを育てる絶好のチャンスです。
※むろん、部下が考案した改善案の許諾を出すのか、出さないのかは上司の責任のもとで行うべきですよ。
部下は任せられたら嬉しいのです。嬉しいから前向きに仕事に取り組むことができます。前向きになると多くの閃きが生まれて今までにないアイデアが湧いてきます。部下が一生懸命自分で考えたアイデアを実行する時、実行力は上司より勝ります。なぜなら、自分で考えたアイデアが成功するか、失敗するかは部下の実行力にかかるのですから。
そして、部下は自分で考えたアイデアを一生懸命実行していると、自然と仕事のモチベーションは上がるのです。
現代サラリーマンの上司に求められることは、「部下に任せる勇気」と「仕事を任せる時に部下のモチベーションを高める上手な動機付けスキル」が、何よりも大切なのではないか。と私は考えます。
部下がイキイキ仕事をしていると、上司もうれしいものですよね。
立場が変わると目的が変わる
会社には、オーナーや社長など会社組織のトップがいれば、課長や部長など会社の一部組織を統括してマネジメントする立場の方。または、方針を実行する一般社員等、様々な立場があります。
それぞれの立場に立って利益向上の目的を考えてみましょう。
オーナーの利益向上の目的は?
会社組織全体を統括するオーナーや社長が「利益向上を追求する目的」は一体何なのでしょうか。私なりに考えてみました。
例)
- 社員の豊かな生活を保障するため
- 納税による社会貢献のため
- 顧客満足のため
- 市場活性化のため
- 株主への配当のため
- 新技術や新商品の開発により投資をするため
- 投資でより良いサービスを提供するため
マネージャーの利益向上の目的は?
それでは次に、部長や課長、係長やリーダー等のある一定の組織を統括するマネージャー全体にとっての利益向上の目的を考えてみましょう。
例)
- 社員の豊かな生活を保障するため
- 事業所の改築により顧客や社員満足度向上
- 社員の賃金アップの為
- 事業所拡大の為
- 会社貢献の為
立場によって、利益向上の目的は変わります。本質的なゴールは同じなのですが、目指すべき「ゴールの到達点」や「手掛ける範囲」というのは立場によって顕著に変わります。
そもそも、企業はゴーイングコンサーン(企業活動は無期限に続くという考え方)で行われます。会社は潰さない。という前提で経営します。
それを前提としたうえで、「企業理念やビジョンの実現」のために「利益向上」を行うのです。
以上の2点をクリアする為に、会社は利益を追求しなければなりません。
つまり、「利益向上の目的」=ゴーイングコンサーンを前提として企業理念を永続的に実現する為なのです。
一般社員にとっての利益向上とは何か?
一般社員にとって、仕事の利益を向上させるという事は具体的にどのようなことでしょうか?
その答えは【仕事の工夫・改善を通して、その社員自身のやりがいを創り出す事】です。
それぞれの立場で「利益」をわかりやすく理解する為に、「利益向上に反するケース」を例にして考えてみます。
※ここで言う「利益」は単なる金儲けではなく、「仕事を通じて生み出される価値」ととらえて考えて下さい。
オーナーやマネージャー目線
- サービスの質が低下しクレームが発生する
- ネガティブ情報が出回る
- 企業イメージが低下する
- 売り上げが減少する
- 企業存続の危機
このように利益向上に反する行動をとった場合、企業の永続的な繁栄の危機を迎えます。会社を潰すワケにはいきませんので、これこそ利益に反していると考えられます。
一般社員目線
- 仕事の創意工夫がない
- 仕事の質が向上しない
- 仕事の成果が向上しない
- 周囲からの評価を得られず、自己承認できない
- 仕事のやる気・やりがいを喪失する
このような利益向上に反する行動をとった場合、一般社員目線の場合だと働きがいと自己存在認知を失ってしまうことになります。
以上の事から、一般社員の利益は「仕事の工夫・改善を通して、その社員自身のやりがいを創り出す事」なのです。
先述の通り、オーナーとマネージャーでさえ利益向上の目的は違うのですから、マネージャーと一般社員の利益向上の目的が違うのも、至極当然なのです。
組織のリーダーは、数字に対する目標や要求を一般社員にダイレクトに落とし込みしてはいけません。その目標を達成するためのプロセスや結果が、社員ひとりひとりにどのような恩恵や、やりがいを生み出すのか丁寧に説明し、理解させなければならないのです。
社員ひとりひとりのポイントをしっかり押さえておけば、成果は強力なものになるでしょう。
さいごに
部下があなたの周りでやる気が無く落ち込んでいたら、あなたから声をかけましょう。
やる気がないから仕事の成果が出ないのではありません。
「工夫や改善を通じた自らのやりがいの創出が出来ないだけ」なのです。
その機会を与えられ事が少ないのか。機会はあっても失敗ばかり起こして失敗を恐れているのか。ただ単に「どうすれば上手くいくのか」を知らないだけなのではないか。
要因は、十人十色です。ひとりひとりにその背景があります。だからこそ、あなたから声をかけましょう。
「私と一緒に考えよう!」
その一言で、どれだけ仲間は救われるでしょうか。
仕事はチームプレーで取り組むものです。仲間のやる気が低下しているのであれば、それをサポートするのが仲間なのです。
「あいつはどうせやる気がないから。」などと野暮なことを考えていては、仲間は救えません。仲間を救えなければ、会社を救えません。会社を救えなければ、自分自身に災いが降りかかってくるかもしれません。
仲間を助けることは、自分を助けることに繋がります。
自分を助けてくれるということは、すなわち会社を助けることに直結します。