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有給休暇取得が義務化される/2019年4月から始まる仕組みと制度を解説

どうもこんにちは。本サイトの管理人 サイファ(@saifanet)と申します。

私は大学卒業後に新卒入社でとある企業に就職しました。その後数年勤めあげて、某ショップの店長をしばらく経験させていただきました。管理職として長らく勤めてきました。私の詳しいプロフィールはこちらからどうぞ。

 

今回は『有給休暇取得が義務化される/2019年4月から始まる仕組みと制度を解説』についてご紹介します。

有給休暇取得が義務化される目的は?

有給休暇取得が義務化される目的は「働き過ぎを防ぎながら、ワーク・ライフ・バランスと多様で柔軟な働き方を実現する為」と厚生労働省が定めています。

例えば休日に、好きな場所に旅行に行ったり、美味しいものを食べたあとは「よしっ。切り替えて一生懸命働くか!」とリフレッシュして仕事のモチベーションは高まるものです。

有給休暇が取れないとか、または休みづらい職場だと、社員は働くモチベーションを下げてしまいます。事実、「休みが取れない」「プライベートの時間が無い」いう理由で仕事を辞めてしまう人は後を絶えません。企業としても、社員離れは大きな痛手ですよね。

仕事とプライベートのメリハリを立てて、組織の生産力を高める為にも、有給休暇取得を促進していきましょう。

日本は有給休暇取得が世界ワースト1位

日本の有給休暇の取得率は?

有給休暇取得率とは=(取得した日数÷1年で付与された有給休暇の日数)×100です。

例えば、年に20日間有休が付与されたとして、5日分の有給休暇を取得したとした場合の有給休暇取得率は=取得した有休5日÷1年で付与された有休20日=25%となります。

厚生労働省の2016年の全国調査では、有給休暇を年間で取得している割合はたったの49.4%でした。

 

年間で日本の労働者全体に付与された有給休暇のうち、

半分以下しか消化されていないのです。

(おい。働き過ぎだろ俺たち!私たち!)

理由は職場によって様々で、「人手不足」「緊急時の為に取っておく」「休みがちな奴と思われたくない」などの要因が主です。そこで、政府が介入してまで改革されたのが今回の「年次有給休暇5日間義務化」という制度です。

この状況は日本全体で反省しなければなりませんね。

有給休暇の取得期限は2年!

1年間のうちに取得できる有休は、6年6カ月以上続けて勤務している方へは、年間で最大20日の有給休暇が付与されると法律で定められています。

また有給休暇の期限は2年間です。

付与されてから、2年以内に取得しなければ、付与された有給休暇は消失してしまいます。

以上のとおり、有給休暇取得率が半分以下で、さらに有給休暇の取得期限がわずかな為、日本のサラリーマンの多くが自身の有給休暇を投げ捨てている状況なのです。

 

有給休暇取得の義務化はいつから?

これまでの有給休暇は、労働者が使用者に対して自由に取得を申請し、取得する日数には決まりはありませんでした。

2019年4月1日から働き方改革関連法の一部として有給休暇を年間5日間以上利用することが義務化されます。

今回の有給休暇取得の義務化は、その定めを守らない企業には罰金が科せられるよう、大きく制度が変更されます。

過去に労働管理で裁かれた判例を見ると、罰則を受ける対象者は会社の経営者や社長ではなく、その労働者を直下で管理している中間管理職の方が処罰の対象になっているケースがあります。中間管理職は、必ず知っておかなければならない内容です。

 

有給休暇取得が義務化するとどうなるの?

義務化されるようになり、

法律が変更になります。

今までの有給休暇は労働者側が使用者側へ有給を申請することで取得できました。

2019年春からは、使用者が労働者の希望を聴き、希望を踏まえて時季を指定します。

年間5日は有給休暇を取得することが義務化されます。また、使用者は労働者ごとに年次有給休暇の管理簿を作成し、3年間保存しなくてはなりません。

有給休暇取得が義務化されて法律が改正されるとなれば、これまでは「可能な限り有給休暇を取得する」というスタンスだったのが「必ず取得させなければならない」という社会的責任が生まれるのです。そうしてでも、有給級休暇の取得率を改善させなければならない日本の労務環境の悪さがこのような改革に繋がったのです。

 

有給休暇取得の義務化に隠された罠

有給休暇取得が義務化されることで、日本全体の有給休暇取得率は改善していくと考えられます。しかし、この制度を逆手にとって最悪な手段で対抗するブラック企業の報告が相次いでいます。

とあるブラック企業では、これまで年末年始休暇として12/30~1/3までの5日間を公休扱いとしてきました。今回の有給休暇5日取得の義務化に対して、これまで公休扱いだった年末年始休暇の全てを有給休暇で取得させるという荒っぽいことを取り決められているようです。会社の体裁上、「弊社は有給休暇5日間取得している」と主張できるかもしれませんが、これは明らかに本質を理解していません。

さらに、そのブラック企業では年末年始に有給休暇を5日間取得を取り決めとしている為、年末年始が近くなると、有給休暇の取得を会社から制限されるそう。社員が有給休暇の取得を希望しても「年末年始に充てる5日間分の有給休暇が無くなるから却下」とはねられるのです。

にわかに信じがたい話でもありますが、制度に隠れた罠や落ち度を悪用して、会社の良いように取り組むブラック企業は少なくないです。悪策を講じて社員を大切に出来ない会社は、将来潰れてしまいます。そうなる前に、会社から身を引くなどの準備をおススメします。有給休暇取得制度を悪用して罠を張るような会社には所属したくありませんよね。

私なら、そんな劣悪な労働環境の会社はすぐに辞めます。

 

義務化されると罰則があるため、有給休暇が取得しやすい社会に変わる

2019年4月以降に、万が一、労働者に対して年5日以上有給休暇を取得させなかった場合、企業側には30万円以下の罰金が科せられます。

これは新たに施行される罰則です。

企業は30万円という罰則金額よりも恐れるべきは「法律違反というレッテルが貼られて会社の社会的信用を失墜する可能性がある点」でしょう。

社会的信用を失墜してしまうと、取引企業との関係悪化・顧客離れ・大幅な減収・株価の下落など、業績に直結する大きなダメージを受ける可能性があります。

このことから、企業側はどうにか工夫して有給取得をすすめる改善が加速して有給休暇が取得しやすくなると考えられます。このご時世、企業のコンプライアンス違反は、その企業の信頼や業績に大きくリンクしています。

管理者側の意識を変えたり、会社としてこの制度の認知を深めたり、業務改善で効率化の仕組みをつくったり、必要・不必要な仕事を整理したり。私が知る限りではすでに準備を進めている企業が多いと思います。

結果として、「有給休暇を取りやすい社会へ変わっていく」と考えて妥当でしょう。

 

年次有給休暇の5日間取得を既にルール化している会社も多数あり

今回の有給休暇5日の義務化は、2019年4月より開始されますが、そのスタートを見越して2018年度から有給休暇5日間以上の取得を社内ルールとして取り組んでいる会社も多数存在します。

実際に私自身も、とある企業に勤めているいちサラリーマンですが、私の会社でも2018年度より「有給休暇を計画的に5日以上は取得する事」という取り組みをスタートしております。

2019年4月以降はじまる制度を目前に社内の制度を整えていくために、スタートした取り組みなのですが、いざ有給休暇を5日以上計画的に取得するとなると、問題がいくつか発生しました。

例えば、欠員が出た時の業務バランスが崩れる点。有給休暇で社員がひとり休む状況になると、その社員が受け持っている業務を代わりに他の社員で補わなくてはいけません。社員それぞれが業務を分担して遂行しているので、欠員が出た場合、他の社員は、有給休暇中の社員の分の仕事も、自分の業務にプラスして行う必要が生まれます。

他社員の仕事をカバーし合う場合、出勤している社員が120~150%の仕事を行うには時間や物理的な面で「無理」が生じます。

そこで、私の社内では「業務の取捨選択」を行いました。業務内容を一覧化して洗い出し、どれが必要で、どれが不必要なのかを全社員で整理したのです。

それぞれの業務がどんな価値を生み出し、どれほどの成果を上げるのか。に注目し、価値ある業務価値が低い業務をわけて、業務プロセスを根本から見直してみました。

見直した結果、価値が低い業務が全体の15%ほど存在していることが判明したため、それらの業務を一切やらないという風に組織全員で取り決めました。そうした業務改善の工夫の甲斐あって、有給休暇で社員に欠員が出ても、残りの社員で業務が円滑に遂行できる組織に変わりました。さらに、集中すべき業務が絞られている為、ひとつひとつの業務の質が向上し、結果として売り上げアップにつながる波及効果も生まれました。

2019年4月以降、有給休暇の義務化制度が始まってから慌てて制度の変化に応じていても、業務に支障が生じて負担が生まれる危険性があります。早め早めに準備を進める事で、来る変化の波に順応できるのです。

 

 

有給休暇はいつでも取得して良いの?

有給休暇は、会社側が取得する事を拒否してはいけません。

2019年4月1日以降、会社側から取得する時季を提案されることはありますが、労働者が取得したいと申し出た場合、基本的に拒否することはできません。

しかし、「正常な事業運営を妨げる」場合には、会社側は労働者に対して有給休暇を取得する日を別の日に変更することが出来ます。

例えば、「一度にたくさんの社員が休んでしまい正常な業務に支障をきたす場合」や、「その社員しか出来ない業務があり、その日に必ず完了させなければならない場合」などがその特例に当てはまります。

このような場合、会社側には「時季変更権」という権利が法律で定められています。

これは、労働者の有休取得を拒否するものではなく、別の日に変更してもらう権利です。

決算の時期や繁忙期といわれる時期に有給休暇を取得する場合は、会社の運営の妨げにならない範囲で、申請することが望ましいですね。

とても忙しい時期に会社側から有給休暇取得の日にち変更を打診された場合は、いたしかた無いケースもあるということです。

 

 

年次有給休暇について

有給休暇の付与とは?

会社は採用後、6カ月継続して勤務して、かつ出勤率が8割以上の社員に対して有給休暇を付与することが労働基準法に定められています。

 

有給休暇の付与日数は?

6カ月以上勤務している正社員に対して付与される有休の日数は以下の通りです。

 

勤続

年数

0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上

有休

日数

10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

入社して約半年で10日分の有休が付与されます。勤続年数が増えるほど年間に付与される有休の日数は増えていき、勤続6年半以上だと、年間20日間も有給休暇が付与されます。

それ以降勤続年数が増えても20日が上限とされます。

 

パートタイマー・アルバイトに有給休暇は付与されるの?

有給休暇は正社員だけではなく、パートタイマーやアルバイトで働いている従業員にも付与されます。

 

パートやアルバイト従業員でも、週30時間以上働いていたり、1日4時間でも週5日は働いていたり、年間217日以上働いている場合は有給休暇が付与されます。

 

定められている有休付与の日数は以下の通りです。

 

週の労働日数

年間労働日数

勤続0.5年 勤続1.5年 勤続2.5年 勤続3.5年 勤続4.5年 勤続5.5年 勤続6.5年以上
4日 169日~

216日

7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~

168日

5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~

120日

3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~

72日

1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

以上の通り、パートタイマーやアルバイト従業員は、正社員のフルタイム出勤者に比べて、付与される有休の日数はやや少なめです。しかし、きちんと有給休暇を取得できる事が法律で認められています。

この権利をきちんと使っていくことを忘れずにいたいですね。

 

 

 

 

有給休暇取得義務化に向けた準備を

2019年4月1日より法改正に伴い、有給取得を計画的にすすめることが本格的に開始されます。今回の法改正により罰金が科せられると、焦る企業も多くあるかもしれません。

特に社員数が少ない中小企業の場合、社員の休暇日数が増えると他の社員の負担が多くなると懸念されがちです。

しかし、有給休暇は本来、社員が働きやすい労働環境をつくるために整備された仕組みです。

有給休暇をきちんと取得し、社員の心身リフレッシュにより、業務の効率やモチベーションを上げる事が、本来の目的とされています。

これから会社に有給休暇の取得をお願いしやすくなりますが、同時に働く私たちは

更なる業務効率化の実施

休暇の間の他社員への引継ぎをきちんと実行する事が、

よりよい労働環境をつくるための絶対条件となりそうですね。